針と糸の通し方と菱目打ちの開け方、縫い方


針と糸の処理は普通の裁縫のと異なります。
「レザークラフト」と「生地での洋裁」の手縫いの仕方で大きくことなるのは、「レザークラフト」では「糸1本の両端に、それぞれ針を刺すつまり二本の針を使う」ということです。

使う糸の長さは、「縫う場所の長さの3倍プラス30cm」を目安にします。

一度針の穴に通した糸に、もういちど針を刺し、これを引いてよじって片側の出来上がりです。
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同じように、糸のもう一方の端にも針を刺して処理しておきます。
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糸と針の準備が出来たら、次に革に菱目打ちで穴を開けていきます。
手縫いの縫い目を揃えてキレイに見せるには、下準備としての菱目の開け方が大切です。
まずは革の端から一定の幅(3mmとか4mmとか)で軽く筋を付けておきそこに菱目打ちを打っていきます。
私は「マルチステッチンググルーバー」という工具を使っています。 これは根元のネジをゆるめてガイドと線引きモデラの間隔を調整して好きな巾で線が引けるのでとても便利です。
一般的には3mm程度にすればいいでしょう。
これで革の縁に沿ってなぞれば縫い目の印が付けられました。


「マルチステッチンググルーバー」を持っていない場合には、定規と千枚通しなどを使って線を引くほか、菱目打ちの2本歯を革の端にあて筋を付けることもできます。
こうして付けた溝に沿って菱目打チを木づちでたたいて穴を開けます。
このときに菱目がまっすぐ並ぶようにするのが重要です。
菱目打ちを立てる向きが大切です。 人間の目は正面に向かって左右に傾いているとズレているのがわかりますが前後の傾きは分かりにくいので、かならず菱目打ちを縦にして革に立てます。
ゴム板を下に敷いて木づちで打ちますが、革の裏側に1mmほど歯が出るのが理想です。
最初に菱目打ちで開けたら、一穴分だけ菱目打ちの歯を重ねて打っていきます。 こうするとすべての穴を等間隔で開ける事が出来ます。
直線部分は4本歯を使い、カーブの部分には2本歯を使って開けていきます。

木づちの代わりに金づちでも打てますが、音が凄いのと腕がつかれるのでお勧めできません。
プラハンマーやゴムハンマーは力が逃げてしまうので菱目打ちがうまく入っていきません。

菱目打ちでキレイに穴が開けられれば縫い目も揃ってきます。


それではここから「手縫い」を解説していきます。
ここで前回紹介した、「自作レーシングポニー」の出番です。
beltpouch18.jpg
革の手縫いは左右から2本の糸を交互にくぐらせ、両手で広げて絞っていきます。
この時、縫う革自体を支えるのに、膝で挟むよりこのレーシングポニーがあればすごく便利です。

レザークラフトの基本ワザ、「手縫い」の動画です。
手縫いの方法です。
「前から奥」に進むか「奥から手前」に戻るかはその人の好き好きだそうですが、私は「手前から奥」派です。

  いよいよ縫いはじめます。
奥側からでも手前からでも自分のやりやすい方法でいいと思います。
私は最初にはじめた時が奥からだったので今でもずっと奥側から縫いはじめます。
縫う長さの四倍強の長さの糸の両端に針をセットして最初の穴に通し、左右の長さを同じにしてから、右側の針をひと目手前の穴に右から左に刺します。



この状態を裏から見たところで、今右から刺した糸(青い線)を、元からある左側の糸(赤い線)の上に逃がすか、下に逃がすかで表に現れる縫い目が違ってきます。
下の例では「上に逃がす」やり方でやっています。

比較するために、6目縫ったところで今度は「下に逃がす」方法に変えてみました。
青い線が下になっています。

こうして縫ったところを表面(銀面)から見たところです。
サンプル革の右側がレーシングポニーの奥側にセットした方です。
表に見える縫い目は一見同じように見えますが、前半にやった「前の糸を上に逃がす」方が縫い目と縫い目の間のすき間が微妙に大きいような気がします(赤い点の部分)

同じものを裏側(床面)から見たところです。
表側と違って縫い目はまっすぐに並ばず、少しずつ斜めに傾いたまま連なっています。
今度は左側が奥側で上に逃がすやりかたですが、下に逃がした時と比べて傾きの方向が逆になっています(赤い線)


ところでこちらがに見えるような縫い目を表面(銀面)に出したらどうでしょうか。
テストとして、床面にマルチステッチンググルーバーで筋を引いてから菱目打ちで穴を開けます。

床面が右側にくるようにレーシングポニーにセットして縫いはじめます。

今度の縫い方も「上に逃がす」を6目、その後「下に逃がす」を6目縫いました。

まずは床面側を見てみます。
やはり「上逃がし」も方が縫い目間のすき間が目立ちます。

表側(銀面)はというと、、最悪です。
糸が引っ張られて穴がひろがったり縫い目がキレイに斜めに出来ていません。
これでは使い物になりませんね。


写真の下はマルチステッチンググルーバーで溝を掘って縫ったもの、上は掘らずに縫ったものです。
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溝を掘った方が糸が出っ張らずにキレイにおさまります。こうすると糸が擦れて切れる事が少なくなります。
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縫う時に表と裏で糸の見え方が違います。

動画でやったように、表からの針を先に入れてあとから裏側の針を同じ穴に入れるとこうなります。
表からの針は必ず裏の針の上を通るようにします。これが上だったり下だったりとバラバラだと、写真のようにきれいに揃った斜めになりません。
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レザークラフトの手縫いにの縫い目の表と裏はどちらかという事について、「縫い目がまっすぐな方が表か」がちょっと気になって調べてみました。

革手縫いの本やネットに載っている「手縫いの仕方」を見てもじつはメディアによって「まっすぐな縫い目」と「斜めになる縫い目」のどちらを表としているかが一定していません。
それでは、という事で私が持っている手縫いの革製品を見てみました。
まずは、一番最初に買ってもらったロングウォレットです。
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  一見、まっすぐな縫い目のようですが、開けた菱目の上の部分に糸と糸のすき間が出来ており、よくよく見てみると「斜めの縫い目」のようです。 反対に、裏側の縫い目の方が「まっすぐな縫い目」になっています。

  次は、メディスンバッグです。
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  これも、開けた菱目の上の部分に糸と糸のすき間があり、「斜めの縫い目」です。
裏側のはやはり「まっすぐな縫い目」です。
ただ、よく見ると場所によってはそうでないとこもあるようです。

  そして、もう一つのロングウォレットです。
sawingstyle05.jpg sawingstyle06.jpg
  これもよく見ると斜めですね。
でも菱目の間隔が狭いのですき間は少なめです。
という事はやはり「斜めの縫い目」を表面にもってくる事が多いようです。

  それでは次に、縫い方の違いによる縫い目の出来かたの違いを試してみます。
今回は、縫い目のチェックをするだけなので、「最初の返し縫い」はしません。
それと前回の時、コメントをいただいた時、「奥から手前に縫う」方が多かったので、私もそうして見る事にしました。
縫い方は、
・表面(銀面)を右側にする
・最初に糸を通したあとの、次からは表面(銀面、右側)から針を刺します。
そして、次に裏面側の針を左から刺すのですが、この時に先ほどの右側から来た糸を「奥側に逃がす」のか、「手前側」に逃がすのかの二通りを試します。

まずは、「奥側に逃がす」縫い方です。
sawingstyle07.jpg 青い矢印が二針目の糸でこれを奥に引っ張ってから、左側の針(赤い矢印)をその手前で刺しています。
それでは次に、途中から「手前に逃がす」縫い方に変えてみます。
sawingstyle08.jpg 青い矢印は手前に向いています。
縫いあがったのがコチラです。
sawingstyle09.jpg
  上の写真の、右半分が「奥側に逃がした」縫い方、左半分が「手前に逃がした」縫い方です。
「奥」の時には縫い目はまっすぐになりますが、菱目の上にすき間が開きます。
この菱目打ちは間隔が4mm幅と少し広めで、穴も大きめにあくのですき間も目立ちます。
「手前」の時はすき間無くきっちり縫えますが、縫い目は「斜め」につながっています。
裏面(写真下側)の縫い目は逆で、「奥」の時(写真右半分)には縫い目はトビトビになりますが、「手前」の時(写真左分)には縫い目はつながっています。
次の写真は参考までに、
・一番上・・・さきほどのサンプルです
・二番目・・・すべて「手前に逃がした」縫い方です。
・三番目・・・今までの例とは、針の刺し方を逆にします。
       つまり最初に裏側(左側)から針を刺し、その同じ穴に右側からの針を刺します。
       糸の逃がしは同じ、「手前に逃がした」縫い方です。
sawingstyle10.jpg sawingstyle11.jpg
  【結論】
どちらの縫い目を表に出すかは好みでもいいのでしょうけど、私としては「縫い目にすき間がなく、斜めにつながっている縫い目」を表に出した方がいいかなと思っています。
という事で、
・針は銀面から最初に入れ、糸は手前に逃がしていくように縫っていくつもりです。

まあ、最後は好みですかね。

レザークラフトの基本は、
・デザインを起こし
・型紙を作成し、
・革をカットし、
・手縫いと縁をステッチする。
あとは、カービングとコバ磨きです。

レザークラフトは奥が深く初心者の私にはまだまだですが、こだわらなければ取っ掛かりはしやすいクラフトだと思いますよ。

【補足テストを追記します】

前に書いた記事ではわかりにくいし、写真も見にくかったのでさらにテスト縫いをして写真も撮り直しました。

次にテストしたのは最初に付ける筋の深さによる差です。
マルチステッチンググルーバーは先端の溝入れモデラを刃先に交換すると一定の深さの溝を掘ってくれます。
前半をモデラによる筋付けにして、途中から刃先に変えて溝を掘りました。

これに同じように菱目打ちで穴を開けます。

縫いおわった表面(銀面)がこれです。
一見同じような感じです。

横からみると、筋だけの方は縫い目が浮いていますが、溝の方は中に埋め込まれています。

実際には仕上げの段階として、縫い目の上から木づちの腹の部分でたたいて縫い目を平らになじませます。

それでも斜めから見れば筋だけの方はまだ縫い目が革の上にあります。
ウォレットなど、ポケットの出し入れが頻繁に行われる場所にある縫い目だと、ポケットにこすれて長い間に縫い目の糸が痛んできやすくなりますので、こういうところの縫い目には出来れば溝を掘っておいたほうがいいようです。





 

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