ロングウォレットの作り方


 

レザークラフトを始めた方の多くが、一度はつくってみたいアイテム、それがロングウォレットだと思います。

型紙から革をカットして、菱目を開け、一針一針手縫いで縫っていき、自分で仕上げた自分だけのロングウォレットを持つ。

この趣味をやっているこそ味わえる満足です。

ましてや革のロングウォレットが一番似合いそうなアメリカンタイプのバイクに乗っているライダーだったら、革パンツやジーンズのヒップポケットから顔を出しているロングウォレットが、自分で手作りしたものであるならなおさらです。

出来上がりの完成品をご覧ください。


 

 

始めるにあたって、いつも一番悩むのがデザインと型紙おこしです。

これさえ決まってしまえば、あとは「作業」としての「革裁ち」「菱目打ち」「縫い」で完成です。

今回は初めてのトライということで手堅く、市販本に載っている型紙を使わせてもらうことにしました。

書店で何冊もロングウォレットの作り方と型紙が載っている本を立ち読みして、選んだ一冊がコチラです。


 

この本はロングウォレットだけに特化したマニュアル&型紙本です。

こういう本に載っているデザインでは、なかなか自分の好みにあったものが無い、あるいは少ないものが多いです。

でもこれは、一つのサイズとして共通にして「外側」「コインケース」「札入れ」「カードケース」のパーツに分けて解説、それぞれの型紙を載せています。

それぞれのパーツの中で自分の気に入ったものを選んで組み合わせれば、希望にあったデザイン、機能パーツのロングウォレットを作ることができます。

これはなかなかいいアイデアだと思います。


 

私が選んだパーツは、

 ・外側は、コンチョで綴じるタイプで縁を革ひもでかがる

 ・コインケースは、チャック付きで外側にカードポケット2個(ここはちょっとアレンジ)

 ・札入れは、アコーディオン式に開くタイプ

 ・カードケースは、オーソドックスで薄型の4枚ポケット

のものにしました。

それぞれのパーツについてもわかりやすい大きな写真が載っているので、はじめてロングウォレットを作ってみようという方にもオススメの本です。


 

 


   


 

それでは早速、作り方を紹介していきます。

詳細なマニュアルは本を購入していただくとして、私の作業の途中段階をご覧いただきます。

 

■ 型紙をつくる

本の巻末に一枚の大きな型紙がついていますが、これを125%に拡大コピーして工作用紙などに貼って使うように指示されています。

でもいちいち貼るのは面倒なので、ここでは一気に型紙にしちゃいます。

大きな紙を必要な部分だけに折りたたんでスキャナプリンターにセットします。

コピー機能で拡大=125%を選びます。


 

セットする紙は普通のコピー用紙ではなく、ペーパークラフトなどにも使う「インクジェットプリンター用厚紙」を用意します。

大きなパソコン用品店、電気店に行けばたいてい扱っているでしょう。


 

カッターで丁寧にカットすれば、貼る手間を掛けずに型紙がつくれます。

工作用紙ほどは厚くないですが、ペラペラではないので丁寧に扱えば、何度も活用出来ます。

今回の型紙の場合、長い縦の長さと角丸は共通ですし、カード入れのカーブも共通です。

こういう場合はそれぞれの型紙から革にトレースするのではなく、別に工作用紙で共通の型紙を作っておけば、それぞれのパーツがきっちり同じように作れます。


 

 

■ 革を裁つ

本を参考にして便利なのは、それぞれのパーツで使う革の厚さが載っていることです。

何度も作ったことのある方なら、外側は3mm厚の革、コンチョベルトは2mm、基本は1.5mm、カード入れは1mmなどと目安がつきますが、初めてだとどこにどの厚さの革を使えばいいか迷ってしまいます。

今回は、最初に掲載されていた厚さの革を用意して型紙からトレースしてカットしました。

各パーツで共通の角丸の部分ですが型紙からトレースしてカッターで丸くカットするのではなく、一旦直角のまま革をカットします。

その後、円のテンプレートで革に直接けがき、それをカットした方が同じ形に作れます。

使っている円のテンプレートのサイズがインチ表示なのは、アメリカで設計に使っていた時のものなのでご愛敬です。


 

角丸のカットはカッターを使わず、革たちやオルファの別たちを使って少しずつカットしていった方がきれいに出来ます。


 

今回使用するパーツをすべてカットしました。


 

最初にフラップ部分の外側と内側の二枚の革を貼り合わせます。

広範囲の革どうしの接着にはサイビノール600を使います。

サイビノールには他にもう少しサラサラしている100がありますが、600の方が接着力が強く乾燥が早いので私はこちらを使っています。

ここはカーブしますので裏表の革の90度に曲げた状態で固定します。

ターンクリップに端材革をはさんで使います。


 

内側の革は大きめにカットしておいて、貼り合わせてから外側に現物合わせでカットします。

その後コバの部分をヤスリで磨いて平らにしておきます。


 

この段階で他のパーツを重ねてみて、全体のイメージを確認します


 

実際にすべてのパーツをカットした後で試しに重ねて完成形をイメージしたところ、縁かがりをする事もあって全体がずいぶんと厚いものになりそうでした。

今使っているロングウォレットは7年前に妻からプレゼントされたものですが、割とスリムなタイプですがそれでもカードや小銭、それに諭吉さんが大勢(見栄です、ミエ(笑)、入れると厚くなります。

もう一つ別に持っているロングウォレットはとても厚いものでそのままではヒップポケットに入らないため、ウォレットホルダーを別に着くってベルトに提げています。

今回のものは使い勝手を優先したいので、スリムな厚さに押さえたいです。

そのため一旦カットした革を使わずに、極力薄い革に置き換えて革を裁ちなおしました。

革鋤きの機械があれば薄く削ぐことが出来るんでしょうね。

結局、コインケース本体、札入れ、カードベースなど全部で5枚のパーツを薄いものに置き換えました

革は厚みが0.2mm違うだけでずいぶんと印象と作業、できあがりの質感が変わってきます。

 

■ 床面とコバを磨く

切り出したパーツのすべての床面にトコノールを塗って磨き、平滑に処理しておきます。

フラップと本体の床面を磨きます。

こうしておかないと札やカードの出し入れの滑りが悪くなります。


 

雑貨店などで安く売られているロングウォレットだと、ここがちゃんと処理されておらずケバだっているものがあります。

そして、組み立てていくと磨きにくくなる場所のコバもこの段階で磨いておきます。

表面になるパーツについては、ピュアホースオイルを塗っておきます。

これはヌメ革が油分が少ないのを補充するのと、作業中に手のよごれなどをつきにくくするためです。

オイルには、ピュアホースオイルの他にもミンクオイルやニートフットオイなどもありますが、仕上がりが美しいこのピュアホースオイルが私のお気に入りです。


 

 

■ フラップを仕上げる

フラップの周囲は革ひもでのかがり仕上げにします。

平目ウチで穴を開けますが、先端部分だけは3mmポンチで丸穴を開けておきます。


 

ほんとうはメキシカンバスケットウィーブで豪華に仕上げたかったのですが、できあがりが厚くなりすぎるのでオーソドックスにダブルステッチでかがります。


 

一周して編み始めの所と連結します。

この部分だけは二枚の革を貼り合わせないでおきます。

最初に編んだ部分をループからほどいて、二枚の革の内側から先端を引っ張り出します。


 

引き出した部分は接着材を付けて二枚の革の間に隠します。

その後で今まで編んできた革ひもを前の部分と繋ぐようにして編み込みます。


 


 

完成したところです。

連結した部分の長さを調整しなおして終了です。


 

本体に縫い付けておきます。


 

 

■ コインケースをつくる

コインケースは上にファスナーを付け、手前にはカードケースを付けます。

ファスナーは作りたい長さのものがあればいいですが、なければ長めのものの端の爪をくいきりやニッパーで起こして外して丁度いい長さに調整してから、再度外しておいた端の金具で締めて固定します。

ベースの生地の部分は縫い代に掛かる分だけ残してカットして、端をライターであぶってほつれないように処理しておきます。


 

コインケースの裏側とファスナーのボンドを塗って乾かし、真ん中にくるように位置決めして接着します。


 

後は普通に菱目打ちで穴をあけ、手縫いで縫っていきます。


 

コインケースの片面にベースとなるパーツを縫い付けます。

この部分は周囲全体を縫わず、中に入れられるようにカードサイズにしておきます。


 

コインケースの反対側にも、カードを二カ所入れられるパーツを縫い付けます。

周囲は最後に本体と一体化してかがりますので、この段階では仕切りとなる中央部分だけ縫います。


 

コインケースの両サイドを貼り合わせます。

接着する部分にもトコノールを塗って仕上げてありますが、このままでは接着出来ませんのでヤスリで3mmほどの幅で周囲の革を荒らしてからサイビノールを塗ります。


 

周囲は手縫いで仕上げますが、上の段階で前後に別のパーツを縫ってありますので、コインケースの部分だけ菱目打ちで穴を開けます。


 

手縫いする時も、レーシングポニーに挟んで、めくりながら縫っていきます。


 

コインケースパーツが出来ました。


 

コバはこの段階で仕上げておきます。

コバの磨き方ですが、厚さのあるコバの場合はフチ落としであらかじめ削っておき、その上でヤスリを掛けて角を落としておきます。

薄いコバの場合はフチ落としはなしで、ヤスリで軽く角を削るだけにします。

実際の磨き方は人によってさまざまですが、私の場合は最初に水を付けて擦ります。

水を含むと革が柔らかくなりますので、半円状に仕上げやすくなります。

磨く工具は厚手ならスリッカーを使い、薄い場合にはウエスで擦ります。

この段階でしっかり半円状になってツヤが出るまで仕上げておきます。


 

ここまで出来たらはじめてトコノールを綿棒の先に付け、コバに薄く塗ってから擦ります。

水で処理しないより事前にやっておいた方がキレイに仕上がると思います。


 

 

■ カードケースをつくる

切り出したパーツを並べて位置を決め、接着する革の両面の端を3mmほどヤスリをかけて表面を荒らしておきます。

型紙に合わせて正確に切り出してあれば、端の部分もズレがなくキレイに重なります。

 

■ 札入れをつくる

これは一番簡単です。

お札が入る部分(=ベース)を二枚、銀面どおしを内側にして、内側を縫い合わせて終わりです。

これの両サイドの二カ所がお札が入る場所になります。

 

■ 外側の飾りパーツをつくる

プレーンなままのオーソドックスな仕上がりも好きですが、せっかく手作りなので自分なりの飾りを付けます。

パイソン側のレザーを立体的に浮き出るように仕上げて本体に二重で縫い付けます。


 

 

■ 全部のパーツを合体させて完成させる。


 

はじめにコインケースと札入れを縫い合わせて一体化します。

それぞれのベースパーツの周囲3mmほどをヤスリで削って荒らして、サイビトールを塗って貼り合わせます。

菱目打ちで穴を開けて縫えばいいのですが、それぞれ外側に別のパーツが付いていますので、内側に開いて縫うのがほんの少しだけ手間になります。

その後縫い合わせたコバをならして処理しておきます。

本体(ウォレットケースの外側)に各パーツを取り付けます。


 

上で作ったコインケース+札入れは、札入れのベースの周囲を荒らして本体と接着してコバを処理しておきます。

同様に本体反対側にはカードケースを取り付けます。

いよいよ周囲をかがってすべてのパーツを一体化します。

平目打ちで穴を開けていくのですが、内側にある別のパーツに貫通しないようにめくりながら、またパーツが重なって厚くなっていますので打ち込んだ平目打ちが抜けにくくなっていますが、がんばって周囲に穴を開けます。

ダブルステッチで編んでいきます。

最後にもう一度全体と編んだ周囲のかがり部分にピュアホースオイルを擦り込んでおきます。

これで完成しました。


 

縁の仕上げをダブルステッチにしてよかったです。


 


 

中側のパーツを薄い革で作り直したので、全体の厚さを抑える事が出来てスリムに仕上がりました。


 

開いた内側です。


 

コインケースの下は札入れが二カ所あるので、万札と千円札を分けて入れらます。

反対側のカードケースの下にも同じサイズの札入れがあります。


 

実際にお札やコイン、カードを入れた状態です。


 

まあまあ満足いく仕上がりとなりました。

まだ全体に白っぽいヌメ革の色で軽いイメージですが、これからこのロングウォレットを使い込んで、いいアメ色になるまでエイジングを楽しんでいこうと思っています。

次回はこれにあうウォレットチェーンを、同じく革で編んで作った記事を掲載します。

 


   


 
 ※ レザークラフトをやるなら手縫いセットとレーシングポニーは必需品です。