はじめてのレザーカービング


7年前しばらく離れていたバイクに、ドラッグスターというアメリカンバイクでリターンした時、妻からプレゼントされたのが革のロングウォレットとメディスンバッグでした。

その新車ドラスタを1ヶ月で手放して次に乗ったのがいきなりの大型バイク、今の愛車のハーレーです。

それからは革のロングウォレットは、仕事の時以外休みの日には毎回利用してきました。

そしてこういう革製品を自分でも作ってみたいと思い、5年前にこれまた妻にプレゼントしてもらったのがレザークラフト工具キットでした。

それから、ミニポーチ、パスケース、ウォレットホルダー、スマホケースなどいろんな作品を作って愛用してきました。

今までは手縫いや革ひもでのかがりで作る作品ばかりで、デザインはパイソンやオーストリッチといった別革と合体させて表現してきました。

レザークラフトを始めて5年もやっていれば、手縫いで作るものはそこそこ出来ると思っていましたが、まだ「レザーカービング」というものはやったことはありませんでした。

革製品を扱っているお店やネットショップなどで見かける、ロングウォレットなどに革に切り込みを入れ刻印を打って凹凸をつけ、アンティーク風に仕上げたアレです。

その多くはレザークラフトに興味がない方も一度は見たことがあるであろうあの独特のアメリカハナミズキのような花とクルッとまるまった茎の「唐草模様」、「シェリダンスタイル」がモチーフとなっています。
参考までに「シェリダンスタイル」とはアメリカ、ワイオミング州シェリダンという地名から名付けられたもので、アメリカの伝統的なレザーカービングのデザインです。

手縫いでのレザークラフトはいくつかの作品を作ってきてそこそこの完成度のものが出来ると自分では思っていますが、ことレザーカービングに関してはまったくの初心者、生まれて初めての体験です。

ここにきてレザーカービングをやってみたい気持ちが強くなり、刻印セットとレザーカービングの参考本を手に入れました。

本やネット情報を参考にはじめてみました。

そしていよいよレザーカービングを始めてみました。

しかしその出来映えはあまりにひどく、正直言ってこのブログで紹介するのをためらうほどでした。

でも「レザーカービングのまったくの初心者が取り組んだ作品づくり」を記事にするのも、これから始めようという方の参考になると思い直して公開することにしました。

それにいきなり完成度の高いものを見せられるより、「なんだ、初めてでこの程度でいいなら、自分でもやってみようかな」と気軽に始めるきっかけになりますよね。

と、自分なりに言い訳をしています(笑;

  はっきり言ってかなり。。?。。な作品です。

今回のこの作品、私として点数を付けるとすると100点満点で35点です。

何度も書きますが初めてというだけでなく、あまりに完成度が低すぎますね。

ではいかにしてこの失敗作を作ったか、その製作工程の紹介です。

 
■1.デザインを決める

初めてつくるので右も左もわかりませんので、まずは参考にした本に載っていた「シェリダンスタイル」の唐草模様を使わせてもらうことにしました。

スマホケースの蓋に使うので縮小する必要があります。

プリンタースキャナーで書籍から読み取った画像を、パソコンで縮小処理しさらにあまりに細かすぎるので少しだけ線を減らしました。


 
また、今回は蓋の上下の対角線上に配置するので180度回転させた図案も用意しました。

パソコンでイラストレーター等のソフトでラインを描きます。

縁取りのカーブ部分は一旦紙に印刷して鉛筆でフリーハンドでデザインを検討し、その上で再びパソコン上でベジェ曲線で再現して普通紙に印刷します。

 
■2.革に図案を写す

ヌメ革を用意し実際に使う型紙の大きさより二回りほど大きくカットしておきます。

刻印を押す際、濡らしてたたくので革が伸びたりするので大きさが変わってきますので、刻印が出来たあとで正しい型紙のサイズに合わせてカットします。

印刷した図案を乗せずれないようにマスキングテープ等の粘着力の弱いテープで固定しておきます。


 
鉄筆や千枚通しなどでなぞって革に跡を付けます。

時々下絵をめくってちゃんとトレース出来ているか、写しモレがないかチェックします。


 
 
■3.縁取りをカットする

まずは写した絵柄の縁に沿って革をカットします。

この時に使うのが、レザーカッティング専用の「スーベルカッター」です。

これで写した図案の縁取りに沿って溝を掘る感じでカットしていきます。

革の銀面と床面の両方を濡らしてしばらく置いて柔らかくしてからカットします。

スーベルカッターの持ち方ですが、下の写真は撮影するためにこんな向きになっていますが、実際には手前に引いてカットします。


 
絵柄が小さく細かいのでなかなか小さなアールがきれいにカット出来ず、カクカクした線になってしまいました。

あとからいろいろ調べてわかったのですが、スーベルカッターは買ってきたそのままでは切れ味は完全ではなく、自分で研いで仕上げてから使わないといけないようでした。

特に今回のように細かい図柄だと、きれいなカーブが出来ないので必須作業のようでした。

スーベルカッターの研ぎ方については、また別の記事を書くことにしました。


 
 
■4.刻印を打つ

いよいよカービングの真骨頂、刻印を打つ作業に入ります。

ここでも革は濡れている必要があるので、プリンのカップなどに水を入れておきスポンジで適時革を濡らしながら作業を進めます。

まずはさっきスーベルカッターで罫書いた線に沿ってつぶす感じでたたいていきます。

私が持っている刻印では細かいところを平らにつぶすのがなくて苦労しました。


 
最初、木づちで作業していたのですが、なかなか強く打てないのと手首にショックがくるのでゴムハンマー(ホームセンターの特価ワゴンセールで200円で売っていたモノ)を使ってみたところこちらの方が断然使いやすかったです。


 
 
■5.もう一度縁取りをつける

打刻しているうちにぼやけてしまった縁取りをシャープにするために、もう一度スーベルカッターで彫り直したりこすって段差をはっきりさせます。


 

 
図柄の隙間は縄目模様で埋めていきます。


 
 
■6.レザーコートを塗る

せっかく彫ったカービングの図柄を際立たせるため、凹部に濃い色をのせてアンティーク調に仕上げます。

最初に全体をコーティングするためにレザーコートを塗ります。


 
これは水溶性の酢酸ビニル系の塗料で、布の染みこませて全体にまんべんなく塗ります。

液自体は白色ですが、乾くと透明になり革の表面にツヤが出ます。

乾くのに時間が掛かりますが、ここは大事なところなのでゆっくり一晩掛けて乾燥させます。

 
■7.アンティークダイを塗る

凹部分に色を入れるためにアンティークダイを使います。

色は黒や濃い茶、薄い茶などいろいろありますが、今回は普通の茶を選びました。

歯ブラシでアンティークダイを刷り込みます。


 
5、6分経過して完全に乾く前に、ウエスで全体を拭き上げ、凸部のアンティークダイを拭き取るように仕上げます。

あまり擦りすぎると、せっかく塗った凹部の色まで取れてしまいますので適当な加減が大事です。

布で拭くとどうしてもアンティークダイが取れすぎてしまうので、端切れの革の一端をまっすぐにカットして、これでこすぎ取るようにしたらうまくいきました。


 

 
あらかた取れたところで、凸部をさらにきれいに拭き上げるために、小さくたたんだ布きれにレザーコートを少し含ませて軽くたたくようにして拭き取ります。


 
さらに細かいところは綿棒の先にレザーコートを浸して作業します。


 
この作業が終わったら、色が落ち着くまでここでもしっかり乾燥させます。

 
■8.最後の仕上げにレザーコートを塗る

アンティークダイを塗った部分も、洋服やポケットなどで擦れると色落ち、色移りしてしまうことがあります。

これを防ぐためにもう一度仕上げにレザーコートを塗ります。

これで一応完成です。


 
 
■失敗した理由

今回、うまくいかなかった理由を自分なりにまとめてみます。

1.初心者が挑戦するには図柄が難しすぎた

なんとなく、レザーカービングの図柄 = こういうシェリダンスタイル(ハナミズキ風、唐草模様風)というイメージがあったので、参考本からこの図柄を選びましたが、正直難しすぎました。

一番最初は、いろんな工具や使い方に慣れるためにももっとシンプルな図柄から始めるべきでした。

 
2.しかも図柄を小さく細かくした

スマホケースに収めるため、ただでさえ難しい図柄をさらに縮小して小さくしたので、余計難しくなった。

慣れれば手持ちの工具をうまく使って出来るのでしょうけど、初めてでは小さなRをカットするのも、小さな模様を打ち出すのも出来ませんでした。

 
3.スーベルカッターをちゃんと研がなかった

スーベルカッターというものは買ってきたままではなく、ちゃんと研いで初めて鋭利な刃が付くモノなのです。

そしてカットしている最中でも何度も青砥という砥石で研ぐことで切れる刃になります。

私は最初に砥石で自己流でテキトーに研いだだけだったので、切れ味も悪くRの部分はカクカクになってしまうという失敗をしてしまいました。

 
4.できあがった作品は、革が変に伸びて変形してしまった

打刻する際に、革の両面を何度も濡らして、刻印でたたいていけば革は当然伸びてきます。

それを防ぐために「のび止めシート」というものを床面に貼るのですが、横着してそれをしなかったため、ずいぶんと変な形になってしまいました。

 
以上のようにいろいろ書いてきましたが、それぞれの反省を踏まえて次回作はコレよりも少しでも上達したものをお見せ出来るようにがんばります。

それでもせっかく作った記念すべき第一作目ですから、恥を忍んでスマホカバーに仕上げました。


  私が使っているスマホケースは、カバー部分だけがホックで外れるようにしているのでこの部分だけ別に作れば「着せ替え」が出来ます。


 
まずはレザーカービングした革を、スマホカバーの形に型取ります。


 
今回カービングをするために革の両面を濡らして、刻印で何度も打ち続けたのでかなり革が伸びて変形してしまいました。

図柄の周りの縁取りも、直線で作ったはずなのにまっすぐになっていません。

レザーカービングする際は革の床面に「のび止めシート」というものを貼ってやれば多少は防げるようでしたが、横着をして貼らずにやったのでこんな風になってしまいました。

それでも型紙を当ててだいたいのサイズでカットします。

こういう革をカットする際、革包丁やオルファ製の革鋤き刃ももっているのですが、私は慣れている大型のカッターを使っています。

カットが出来たら床面にトコノールを塗って磨き、ザラザラな面を平らにしておきます。


 
ホックなどを打つ場所にポンチで穴を開けます。

カバーの下半分は革ひもでかがってしまいますのでコバは見えなくなりますが、上の部分はコバがそのまま見えますのでここもトコノールを塗ってコバ磨きをしておきます。

こういうところを根気よくやるのが大切です。

磨く前(下の写真左)と磨いた後(右)ではかなり違ってきます。


 
上の部分は飾りとして周囲に縫い目を入れておきます。

縁から2.5mmのところに溝を付け「菱目打ち」で穴を開け縫います。

あれこの「レーシングポニー」、いつも私が使っているのと違うのがわかりましたか?

この「簡易・超格安レーシングポニーの作り方」もまた、別に記事を書きます。


 
 
下半分は、同じく縁から2.5mmのところに印をつけ「平目打ち」で穴をあけておきます。


 
今回は、レザーカービングの出来が満足できなかったので、せめて周囲だけでも豪華にしようと思い、初めて「メキシカンバスケットウィーブ」というかがり方で仕上げてみました。

このかがり方は手間がかかりますが、その分革の表面も裏側もびっしりと編み目が入っていて豪華に見えます。


 
使う革ひもも他のかがり方に比べると多めですがそれだけの見た目には仕上がります。

特に裏側を見ると一目瞭然でボリューム感が全然違います。


 
この「メキシカンバスケットウィーブ」のかがり方についても、別に記事を書きます。

かがり終わったら、ケース本体に留めるホックを上部二カ所に打ち込みます。

カバーとして留めるホックにはハーレーダビッドソンのコンチョを付けます。

これのビス留め部分は長すぎるのでグラインダーで少し削りました。


 
仕上げにレザーカービングの花の中心部分にターコイズの飾りを打ち込みます。

このままだと周囲のヌメ革の部分だけが白く浮いています。


 
時間が経てばエイジングで日焼けしてきますが、レザーコートを塗り込んだ上で数日日なたに出しておいてエイジング処理を早めます。

これで完成しました。


 

 

 
レザーカービングは今一(今二? 今三?)ですが、縁取りのかがりとハーレーコンチョで誤魔化すことが。。。うーーん微妙ですね(笑;

 
 ※ レザークラフトをやるなら手縫いセットとレーシングポニーは必需品です。