二つ折り財布の作り方(スリムに仕上げた改良版)型紙付き


 

父の90歳の誕生日がくるのでレザークラフトで手作りの二つ折り財布をプレゼントすることにしました。

前回自分用に作ったものは、はじめてということもあって革の厚みや重なりの加減がわからず想像以上に厚くなってしまい、ポケットに入れるとかさばるものになってしまいました。

それでも使えない訳ではないのですが、カードや小銭(お札ではない?笑)をいっぱい入れるとけっこうな厚みになっていまします。

今回はこの点を改善するため、サイズとパーツの構成、使用する革の厚みを見直しました。

構造的には前作がカードポケットが4つだったものを3つに減らし、小銭入れも折りたたみ式からジャバラ式に変更しました。

使用する革も、中仕切り、カードポケット、小銭入れのパーツに使う革をそれぞれ薄いものに変更しました。

革は思った以上に丈夫で、ひっぱったくらいでは千切れる事はないので大丈夫でしょう。

今回も最初に完成品をご覧ください。


 

基本的なデザイン、面のパイソン柄の模様も同じようにしました。

 

それでは作り方を紹介します。

 

1.全体のデザイン、サイズを決めて型紙をつくる

レザークラフトで一番最初におこなうことは作るモノの形・大きさを決めてそれぞれのパーツの型紙を作ったり、使う革の厚さを決めることです。

型紙を作ると言っても、実際に工作用紙などに書いてカットして作る場合と、サイズだけメモ書きするだけのものがあります。

単純な四角形のもの(今回だと財布の外側、中仕切り、内側ベース等)なら、四角を書いて縦横のサイズと革の厚みだけ指定するメモでOKです。

それ以外で、カーブのあるパーツ(コインポケットの蓋や外側に付けるパイソン模様のベース等)は、革に型紙を載せて写し取るために厚紙で型紙を作っておきます。


 

使う革の厚さは、求める丈夫さと何枚重なるかで厚みをどれくらいに押さえたいかによって決めます。

今回作ったすべてのパーツはすべてヌメ革で、

 ・外側  ・・・ 1.6mm
 ・中仕切り  ・・・ 0.8mm
 ・内側ベース   ・・・ 1.0mm
 ・カードポケットA(一枚)  ・・・ 0.8mm
 ・カードポケットB(二枚)  ・・・ 0.8mm
 ・コインポケット   ・・・ 0.8mm
 ・コインポケット蓋裏貼り   ・・・ 0.8mm
 ・コインポケットマチ(二枚)   ・・・ 0.5mm
 ・パイソン革  ・・・ 少々(おおさじ二杯?)
 ・パイソン縁取り  ・・・ 1.6mm


 

今回作った二つ折り財布の型紙です。


 


 

 ※ この型紙の原寸大PDFは、コチラ からダウンロードできます。

 

2.革をカットする

決めたサイズ、型紙にそって革をカットします。

カッターマットの上に革の銀面(表になるつるつるした方)を上において、まずは基準となる直線を出します。

革の端がまっすぐになっていないときは一度、金属製の定規でまっすぐにカットしておきます。


 

正確な四角、角を90度にするために「曲尺(かねじゃく)」を使います。

革に印しをつけるには「銀ペン」がよく使われますが、私は直接「千枚どおし」で軽く押しています。


 

カットに使う工具ですが、レザークラフトのマニュアル本には革裁ち包丁を使うように書いてあるモノがおおいですが、私は使い慣れた大きめのカッターナイフを使っています。


 

すべてのパーツをカットしますが、外側、中仕切り、内側ベースなどの角の部分は丸く仕上げるのですが、いくつかのパーツが重なる部分は接着してからカットしますので、この段階では外側パーツの左右上部のところだけアールを付けておきます。

ここをカットする時だけはカッターナイフを使わず、革包丁(実際には「オルファ製の 別たち 56B」)を使っています。

角の部分にまずは垂直に立てた別たちで真上から押して45度の角度で角を落とし、さらにその角を押しつけてカットするように何度かに分けて押し切りします。


 

カッターで丸く刃や材を動かしてカットするよりキレイなアールに仕上がります。

 

カードポケットは、前回のもの(下の財布)では四カ所ですが、今回は三カ所分です。


 

外側につけるパイソンのパーツは、型紙にそってヌメ革をカットし、くりぬいた内側のパーツの縁からさらに3mm小さいものを切り出し、パイソンの裏に貼って立体的にするのに使います。


 

 

3.革の床面をなめらかに処理する

革の裏面(床面「トコメン」)はケバ立ってザラザラになっているのでそのままだと財布の中にお札やコインを入れたときに使い勝手がよくありません。

すべての床面には「トコノール(誠和)」または「CMC(クラフト社)」を使います。

トコノールの方は最初からノリ状になっていますが、CMCは粉なので水に溶いて時間をおいてから使います。

CMCの方が圧倒的にコストパフォーマンスはいいのですが、私はすぐに使えるトコノールを使っています。

トコノールの方が仕上がりがツヤツヤになるのも気に入っています。

このトコノールですが、以前のものとラベルが変わりましたが中身は同じもので、右が新しい容器です。


 


床面を上にしておいて指にトコノールを付けて薄くのばしていきます。

この時、銀面(表面)に付かないように十分注意します。

ついてしまうとそこだけ革の表面に膜が出来て、オイルを塗ってもはじいてしまい、時間の経過で革の色が変化するのですがそれが違ってきてしまいます。

トコノールを塗って数分して半乾きになったところで、擦って磨いてザラザラの床面を滑らかに仕上げます。

この時使うのが角が丸くなっている専用のガラス板か、木製のつぼ押しのような「プレススリッカー」です。

私はコバの角丸も磨ける上の写真にある「プレススリッカー」を使っています。

これで強く押しつけながらケバ立ちが落ち着くようにムラ無く平らに仕上げます。

擦れば擦るほどツヤツヤになります。

 

4.菱目打ちで穴を開け縫いはじめる

いよいよ「縫い」の作業です。

今回は最初に「カードポケット」を「内側ベース」を付けます。


 

パーツは二種類、三枚ですが、最初に三枚とも内側ベースに並べて取付位置に印しを付けておきます。

最初に縫うのは重なりの一番下になるパーツです。

左右端と下端の部分は接着しますので床面に塗ったトコノールのツヤ部分をヤスリで削って荒らしておきます。

そうしないと接着剤が効かないからです。

付ける場所に印しを付けて、同様に中仕切りの接着する部分もヤスリをかけます。

 ※ 下の写真は外側にパイソンパーツを付けるところです。


 

接着剤は革用のもので、私が使っているのは強力な「サイビノール600(クラフト社)」を使っています。

貼り合わせた後、下端の部分にだけ菱目打ちで縫い穴を開けて縫っていきます。

左右の部分は必要なパーツを重ねてからまとめて縫っていきます。

よく「縫い目がまっすぐ揃わないんですが。。」というお悩みを聞きますが、キレイに仕上げるコツとしては「下準備が大事」です。

まず、縫うラインにそって軽くスジを引いておきます。

そのために使うのが「ステッチンググルーバー」です。

革の端から何mmにするかをネジをゆるめてガイドをセットしてから革にスジをつけます。


 

直線部分だけなくカーブ部分も同様にゆっくり丁寧に作業します。

その上で、「菱目打ち」で縫い穴をまっすぐになるように開けますが、この時も揃うようにかつ等間隔になるように注意します。

特に打つ際に菱目打ちが垂直でなく傾いてしまうと、表から見ると揃っているように見えても裏側から見るとガタガタになっているケースが多いので、必ずまっすぐに打つようにします。

三本目打ち、四本目打ちなどは、前に開けた穴に一目重ねて開ければ等間隔になります。

これさえ注意すれば、「縫い目を揃える」ための準備は完璧です。

 

縫う時は「レーシングポニー」に挟んでおこなうと作業が効率良く進みます。

ここでは縫い方についての解説はしませんが、糸の処理(二本針の上下の動かし方)と糸を絞るテンションを均一にするのが、縫い目をキレイに揃える二つ目に大切な事です。

カードポケットの下端を三枚縫ったら、右端の部分をまとめて菱目打ちで穴を開け縫っておきます。

左端は財布の外側、中仕切りと重ねてから縫います。

 

次にコインポケットを縫います。

その前にコインポケットの蓋の部分と身ごろ(?)にホックを付けておきます。


 

ホックは、「ジャンパーホック」と「バネホック」の二種類があり、サイズもいろいろありますので使いやすいものを選んでおきます。

どちらのホックもオスとメス、それぞれ二つのパーツで革を挟んで専用の「打ち具」で叩いて固定します。

この打ち具もそれぞれのタイプ、サイズに合わせたものを用意します。

ホックが付いたらコインポケットを縫います。

コインポケットに左右のところに「マチ」パーツを貼り付けますが、この時も接着剤を付ける部分の床面は荒らしておきます。


 

コインポケットは立体的になるので、菱目打ちの穴開けと縫う順番をよく考えます。


 

コインポケットの本体の左右と蓋の根元の部分の三カ所とそれが付く「中仕切り」のところを荒らしてから、菱目打ち、縫うのは「カードポケット」で同様です。


 

 

「中仕切り」に「カードポケット」と「コインポケット」が付いたら、最後に全体を一つにまとめます。

「外側」「中仕切り」「内側ベース」の左右と下の部分の接着部分を荒らして重ねて貼ります。

この時、財布が二つ折りになるようにそれぞれの幅が違っていますので、曲げた状態で左右端が揃うようになっていますのでこの状態でクリップで挟んで接着が固定するまで待ちます。

いきなりクリップで挟むと革が傷むので必ず、端切れの革を間にかませます。


 

一晩おいて完全に固定出来たら、コバの部分を仕上げます。

重なり部分をヤスリで同じ高さになるように削り、


 

ヘリ落としで角をこすって面取りします。


 

その後、コバにトコノールを塗って半乾きになったら、「プレススリッカー」の溝の部分を使ってキレイな半丸状でツヤが出るまで磨きます。

ここは丁寧にやればやるだけキレイに仕上がるのでがんばりましょう。

菱目打ちで穴を開け、周囲をぐるっと縫います。


 

この時、下端の真ん中部分は「中仕切り」「内側ベース」部分は縫わずにたるませておかないと、ちゃんと二つ折りになりません。

 

5.仕上げのオイルを擦り込む

すべての縫いが完成したら、ヌメ革にオイル分を補充するために擦り込んでおきます。

オイルには、「ミンクオイル」「ニートフットオイル」「ピュアホースオイル」などいろいろな種類がありますが、私は浸透性が高く、色付きが少なく、匂いも少ない「ピュアホースオイル」を使っています。

全体に馴染むようにすり込み、ウェスで丁寧にのばしておきます。

オイルについては、手縫いをする時に革に手の汚れが付かないようにするために縫う前に塗る方法もありますが、そうしてしまうとオイルを吸った場所はヤスリで荒らしても接着剤が効かなくなりますので、私は縫い終わってから塗るようにしています。

 

これですべて完成しました。

出来上がった作品です。


 


 

写真では加工して消していますが、実際にはカードポケットのところに父の名前と年齢を刻印してあります。


 

前回初めて作った二つ折り財布とくらべてみましょう。

初めてだったので外側と内側の長さの差をどれくらいにすればよいか分からずに作ったので内側のパーツが短すぎてしまい、つってしまっています。


 

薄く仕上げるために小銭入れの構造を変えています。

手前が今回のジャバラタイプ、奥が前回の袋状のものです。


 

この結果、今回のものはお札や小銭、カードをフルに入れても最大部分の厚さは21mm程度に収まっています。


 

前回のものは30mm近くあるので約2/3になりました。


 

 

ようやく形になってきましたので、そろそろ手作り作品としてオーダーを受けて販売開始しようかと思っています。

こんな二つ折り財布やロングウォレットで名前刻印入りだといくらくらいで売れるでしょうかね。

 


   
 

   


 
 ※ レザークラフトをやるなら手縫いセットとレーシングポニーは必需品です。